設計屋
     
     
   

ニュース&エッセイ

>>ニュース&エッセイ全体表示

« S邸の屋根工事が始まりました。 | メイン | S邸の中間検査を受けました。 »

長期優良住宅?【その1】

 今年6月4日に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」。長く住み続けられる住宅には、税制・融資優遇をしますという法律です。先日、この法律に関する講習を受けました。

 日本における木造住宅の平均寿命を知っていますか? その答えは、何と27年数ヶ月だそうです。欧米諸国の木造住宅と比較すると1/3程度の年数しか使われずに建て替えられています。これでは住宅ローンの返済が終わるころには建て替え時期を迎えることになり、日本のお父さんたちは、常に住宅ローンに追われていることになります。

 どうして日本と欧米ではこんなに木造住宅の寿命が違うのでしょうか。それは不動産価値の評価の違いによるところが大きいと思われます。欧米諸国では古い家でも手入れを怠らず、丁寧に使っていれば、建てた時とほぼ同じ金額で売ることができるのに対し、日本では古くなるほど不動産価値が減ってゆき、まだ住宅ローンが残っているのに価値はそれ以下なんてこともザラです。

 では、日本の住宅はそれほど質が劣っているのでしょうか。 そんなことは全くありません。日本の木造建築の技術は大変優れており、日本各地に築後100年以上経過した住宅が、台風や地震などの過酷な条件にも拘わらず今も住み継がれています。そうした「古民家」の集落を訪れると不思議と心が落ち着きやさしい気持ちになります。長い間変わらずに親しまれた風景、我々日本人が持っているDNAにそうした原風景が刻まれているのかもしれません。<つづく>