設計屋
     
     
   

ニュース&エッセイ

>>ニュース&エッセイ全体表示

« S邸の中間検査を受けました。 | メイン | S邸のサッシを取付けました。 »

長期優良住宅?【その2】

 長く住み継がれるすまいとは、どのような家なのでしょうか。 住み継がれるための条件のひとつに、住まう人たちが「家」に対して愛着を抱いているかが挙げられると思います。

 現代の家はハウスメーカーの台頭によって「建てるもの」から「買うもの」に変わってきました。住宅展示場に行き、イメージと予算に合った家を選ぶ。営業マンと打合せを行い、間取りや材料などを決めてゆく。工事が始まり、早ければ3ヶ月足らずで引渡しとなります。どんな人たちが図面を描き、どんな人たちがつくっているのか、ほとんど知らないうちに家が完成します。
 また逆に、図面を描く人や、家を作る多くの職人さんたちも、どんな家族のために図面を描き、つくっているのか、顔さえ知らない場合もあります。

 これでは、住まう人もつくる人も、でき上がった家に愛着が湧くはずがありません。愛着がなければ丁寧に使うことも、自ら進んで手入れやメンテナンスをしたいとも思わないのではないでしょうか。どんな良い材料を使っても、手入れをしなければそれだけ耐用年数は短くなります。逆に手入れをすれば、そこそこの材料でも長持ちするのです。

 愛着を持ってすまいに接する。その為にはつくるプロセスに関わり、共に苦労したり楽しんだりすることで、自分たちの家・自分たちでつくり上げた家という意識が深くなります。昔はちょっとした家の修繕はお父さんの役目でした。剥げたペンキを塗り直したり、棚を作ったり、破けた障子紙を張り直したり。子供たちもそれを手伝い、目にすることで自然と家を大切にする心が育ちました。

 家の耐用年数を長くするためには、構造的に丈夫にすることや、間取りや設備の更新をしやすくすることももちろん必要ですが、最も必要なことは、住む人が愛着を持つ心を育てることだと思います。